ペットショップをなくせ!」は現実的か?

先天性疾患、繁殖引退犬、ショーケースでの展示販売、社会化の欠如、飼い主教育、不適切なマッチング…ペット産業を取り巻く課題は、依然散見されています。「ペットショップなんてなくなればいい!」という声も、たくさん届いています。

しかし、「ペットショップをなくせ!」というスローガンで、思考停止してしまえば、本当に必要な企業経営に影響を与える程の対話を生み出すことは難しくなります。そもそも、ペットショップ=「常に悪」という情報発信に対して、当のペットショップは耳を傾けたくないでしょう。

ペット産業に従事する方にも、家族があり、生活があります。ペット産業従事者の生活を守ることも、ペット産業の社会的責任の一つです。「ペットショップをなくせ!」は、短期的に現実的な解ではないのです。

ペットショップをなくす」のではなく、「より良いペットショップを増やす

今、必要なのは、より良いペットショップを増やしていくことです。

私は、人が動物と良い関係を築いて暮らしていくことは、人の生活を豊かにすることができ、一緒に暮らす動物にとっても幸せな生活を提供できると考えています。本来のペット産業の使命は、人と動物が共に幸せに暮らせるサポートをすることです。

ペット産業のCSRとは、ペット産業が、動物福祉を守り、飼い主への責任を果たすことを指します。ペット産業が、本来の使命である「人と動物の共生」をサポートする存在であるとの前提のもとで、その使命を着実に果たしていくために、企業の内外から働きかけることを指します。

ペット産業のCSRの概念では、「ペットショップは、動物の“敵”」「ペットショップ=“悪”」という考え方ではありません。「ペットショップ=“悪”」と捉えてしまえば、ペットショップからも“敵”と見られてしまい、対話に発展することはなく、結果として、経営判断に影響を与えるような、社会と企業の対話は生まれません。

ペット産業のCSRという概念の上では、180度話が変わってきます。

ペット産業の持続可能性を高めるために、ペット産業が社会からの要請により敏感になり、社会から選ばれる必要とされるより良い経営を目指そうという考え方です。ペットショップをより良くしていこうという方向性は、ペットショップにとっても、動物愛護家にとっても、好ましい方向性であり、手を取り合い協働することが可能になります。

また、ペット産業のCSRでは、客観的に冷静に、ペットショップの取り組みを評価します。褒めるべきは褒め、改善すべき部分は提案するというスタンスです。CSRでは、企業が社会からのどのような要請を受けているか知るために、利害関係者との対話を重視します。より良いペットショップを目指すために、利害関係者との対話に基づき具体的な対策を検討していくという考え方です。

どちらが、本当に企業に影響を与え、経営判断に影響を与えることができるでしょうか?企業、動物愛護団体、消費者がCSRの概念の上で対話を行うことができれば、企業の変化を加速することができるでしょう。私は、ペット産業のCSRというアプローチこそが、ペット産業の変化を加速する触媒として、今必要とされていると確信しています。

ペット産業のCSRを広めることこそ、課題の特効薬

しかし、ペット産業のCSRと言う概念は、まだまだ一般的に知られている概念ではありません。企業も、動物愛護団体も、消費者にも広まっていない概念です。

私は、ペット産業のCSRという概念を広めることこそ、ペット産業の課題解決のための根治療法であると考えています。動物愛護団体がCSRの文脈から、冷静に客観的に企業を評価し、褒めるべきは褒め、改善すべきは提案し、それを企業が受け止め改善を行っていく。消費者は、動物愛護団体が行う評価を見て、より良い運営がされている企業を選んで利用する。結果として、劣悪な飼育環境のブリーダーやそうしたブリーダーと取引のあるペットショップは、市場から退場せざるを得なくなる。

そうした好循環を生むために、企業だけでなく、消費者も、動物愛護団体も変わっていかなければならないと、私は考えています。そのためには、ペット産業のCSRという概念を理解し活用する必要があります。そのための情報をまとめたのが、本書「ペット産業社会的責任白書」です。

拡散に向けて

白書の情報を拡散し、より多くの人に認識してもらう事、ペット産業のCSRという概念を多くの方に理解していただくことが、遠回りながらも、ペット産業に関連して起こる、人と動物の共生の課題を解決するために必要な取り組みであると信じ、2015年から3年の歳月をかけて、本書の発行にこぎつけることができました。

当然、発行して終わりではありません。発行は始まりにすぎません。どれだけ多くの方に読んでいただけるか、それが社会を変えるための成果指標になります。

私は、ペット産業とペット産業の課題に関与し、関心を持っている方の中で、少なくとも1000人に本書を読んでいただきたく、1000部印刷するための印刷費を皆様からご支援いただきました。

そして、クラウドファンディングを通じて、100人の方に届けたいとの思いから、5000円×100人=50万円を当初の目標とさせていただきました。そして、+αのご支援をいただけた事もあり、66人のご支援で、その目標を達成させていただきました。

1000人に白書を届けたい!

7日間で66名の方にご支援いただいた反響を受け、このままでは終われないという思いを強くしました。クラウドファンディングの期間は残り30日。この機会を通じて、まだまだ多くの方に本書を届けたいと考えています。

私たちは、白書1000部を来年度以内に全て届けたいと考えております。発行するだけでは、本書の意味はありません。読んでもらう事ではじめて、情報が伝わります。まず1000人に、本書を届けたい。本書が伝えるペット産業のCSRと言う概念を広めていきたいのです。1000人に届けるスタートダッシュを決めるためには、クラウドファンディングの期間で、あと134名、合計200人の方に、本書のご予約をいただきたいと考えています。

そこで、現在の支援額に5000円×134人=67万円を足して、120万円をネクストゴール目標金額とさせていただき、再スタートさせていただきます!

一人一人にできることがある

応援コメントの中には、「何をすればいいか、自分に何が出来るか分からないけど、応援することはできるので、応援します」というコメントをいただきました。本当にありがたいことだなと思います。

「私に何が出来るのか?」その一つの答えは、自分自身が情報を得ることにあると思います。自分が情報源となれば、少なくとも、周囲の人に、適切な判断を促すことができます。より良い、より適切な経営をしているペットショップを選ぶ手助けができます。

消費者が変われば、企業は変わらざるを得ません。今、消費者が動物福祉について知らず、社会的責任について知らないからこそ、動物への配慮が無くても経営できる状態になっていると言えるでしょう。消費者が動物福祉を求め、動物福祉にお金を払う覚悟を決めれば、企業は自ずと変化します。

本書を広めること、ペット産業のCSRと言う概念を広めること、動物福祉という観点からペットショップを選ぶこと、それは、今、あなたに出来ることだと思います。

分かりにくいと思います。難しいと感じられても仕方ないと思います。「ペットショップをなくせ!」の方が、正直、分かりやすいです。でも、本当に変えたいなら、本当に動物たちの幸せを望むなら、本当に人と動物の共生を望むなら、ペットショップの存在を認めた上で、そのやり方を問う、CSRの考え方が必要ではないでしょうか。