殺処分数は年々減少し、近年では、殺処分数がゼロになる自治体が増え始めています。殺処分ゼロ運動は、一方では大きな成果が上がっているように見えますが、他方では、官民問わず、収容頭数を超えた収容が日常化しています。十分な人員や設備がない中で、多くの動物を保護することで、適切な運動や安心できる環境を提供できないなど、動物の生活の質が下がっているのではないかという指摘があります。

 保護されている動物についても、既に高齢であったり、病気を持っていたり、攻撃性が強い等の理由で、新たな飼い主を探すべきではない、あるいは、新たな飼い主を探しても見つからないと判断される動物も少なくありません。殺処分ゼロを継続するために、こうした動物は、保護施設内で一生を過ごすことになります。

 病気になれば治療し、介護が必要になれば介護し、時に延命措置を受けて、天寿を全うさせるというスタイルが一般的になっています。保護団体や行政は、殺処分ゼロ活動を推進している以上、安楽殺をするということは選択肢には入っていないことが少なくありません。

 しかし、こうした対応が本当に動物の幸せにつながっているかどうかについては、疑問の余地があります。果たして、飼い主がおらず、保護施設で生きている動物が、介護を受けながら、延命措置を受けながら、できる限り生きるということは、その動物の苦しみを増やしているのかもしれません。飼い主のいない動物が、自分の力で食事をとれなくなっても、自分の力で排泄できなくなっても、生きていく意味とは何なのでしょうか?

 今回の研修では、動物福祉学・認知心理学がご専門の、皆様おなじみ東山動物園の企画官上野吉一先生にお越しいただき、これから日本の保護活動の中で問題となるであろう、保護されている動物の安楽殺について、動物福祉の観点から、どのように考えたらよいかについて、情報提供いただきます。

セミナー実施詳細

日時:2019年2月7日13:00~16:00
場所:NPO法人人と動物の共生センター事務所
   (ドッグ&オーナーズスクールONELife)
   岐阜県岐阜市岩地2-4-3
   JR長森駅から徒歩10分
講師:上野吉一先生(名古屋市東山動植物園 企画官)
料金:無料
定員:40名
申込:以下のURLよりご登録ください。
●●申し込みフォーム●●
https://goo.gl/forms/1hHULcZcNOXAN7aJ3

講師プロフィール

上野吉一先生(名古屋市東山動植物園 企画官)
1986年北海道大学農学部卒業。1993年北海道大学大学院文学研究科修了。2000年より京都大学霊長類研究所附属人類進化モデル研究センター助教授(准教授)を務めた。2007年に大学を辞し、名古屋市東山動物園の企画官へと転身し、新しいコンセプトの動物園作りを目指している。著書に「キリンが笑う動物園―環境エンリッチメント入門 (2009)」「動物福祉の現在―動物とのより良い関係を築くために:共著(2015)」等がある。