当団体(NPO法人人と動物の共生センター)では、飼い主様が亡くなられ、ご親族・ご近所の方・福祉関係機関から、残された犬猫について相談されることが良くあります。
当団体でもお引取りさせていただく事例もございますが、引取りには当然飼育費用も必要です。このような事態に対して、コスト面も含めて、どのような対応法が可能で、どのような選択肢があるのでしょうか?
本記事では、飼い主が亡くなってしまった、あるいは、飼い主が施設入所になった場合の対応法について解説します。
当座の飼育は誰がする?
飼い主様が既に亡くなっている、施設入所している場合、犬猫の世話ができない状態になっているはずです。当初の問題は、日々の世話をどうするかです。方法としては大きく3つ。①近隣の親族や友人が飼い主宅に通って世話をする方法、②親族や友人の自宅に引き取ってきて世話をする方法、③ペットホテルやペットシッターに依頼する方法の3つです。
近隣の親族や友人が飼い主宅に通って世話をする方法
これは、当方での相談でも多いパターンです。先日は、お隣の飼い主さんから、入院中のお世話をお願いと頼まれたものの、そのまま飼い主さんが自宅に帰宅できず、数か月も世話を続けているという相談がありました。実家の父母が亡くなって、残された犬猫を娘息子さんが面倒見ているパターンも多く聞きます。家族がアレルギーである等、自宅に連れて帰れない事情があると、通いでの世話をせざるを得ません。
しかし、このような通いでの世話を毎日することは、日常生活に大きな負担となっているようです。散歩の必要のない猫ちゃんであっても、水とゴハンとトイレの世話を10分するだけで、人とのかかわりなく、寂しい思いをさせ続けることは、決して猫たちのためにはなりません。健康な犬であれば、1日2回30分程度はしっかり散歩させる必要があります。飼い主宅が世話する人の自宅から遠い場合、毎日いけないという問題も生じます。
この方法では、金銭的コストは大きくかからないかもしれませんが、本人の労力が持たずに続かないというケースが多いように感じます。
親族や友人が自宅に引き取って世話をする方法
これができるに越したことはありません。世話する人の近くに動物がいて、日々お世話ができる状態なら、金銭的コストも労力もそれほど大きくなるわけではありません。しかし、本記事を読まれている方は、これができないから困っているという状態だと思います。
ペットホテルやペットシッターに依頼する方法
金銭的コストはかかりますが、確実な方法です。当団体への相談でも「父が亡くなってから、犬は近くのペットホテルに預けていて、既に1か月になる」というようなケースがしばしば見られます。親族が遠方に住んでいて通いでの世話が不可能な場合に用いられることが多いようです。
問題となるのは金銭的コストとその後の見通しです。ペットホテルの料金はまちまちですが、最低でも、犬であれば1日5500円、猫であれば1日3300円程度は必要です。1か月で犬は15万円、猫は10万円ほどかかる計算です。長期になると割引になるホテルもあります。
こうした金額であっても、飼い主さんが亡くなったという非常事態であれば、1カ月くらいの費用負担は親族としても仕方ないと割り切られる方が多いと感じます。しかし、一番の問題は、その後の見通しです。仮にこれが1年間続くとなると、犬で200万円、猫で100万円レベルの費用がかかってきます。生涯となればこの数倍になってしまいます。
ペットホテルに預けながら、新しい飼い主を探すという方法もありますが、飼い主探しにもノウハウがあるため、個人で行うには限界もあります。ペットホテルやペットシッターの利用は便利であるものの、見通しが立たないと金銭的コストが嵩み続けるという問題点があります。
引き取り手を探すにはどうしたらよいか
一番の課題は、最終的に犬猫をどこに預けるか?と言うことです。犬猫の生涯飼い主さん宅に通い続けて世話を続けるのは、世話する人にとっても犬猫にとっても負担が大きいです。また、ペットホテルに費用を払い続けるのは現実的ではありません。
自分で新しい飼い主を探す
最も正攻法であるのが、自分で新しい飼い主を探す方法です。チラシを作って職場や関係するコミュニティで配布する、友人に片っ端から聞いてみる、SNSで情報を拡散する、ジモティなどのネット掲示板で募集するなどの方法が考えられます。
保護団体では断られることが多い
犬猫の引き取り手を探そうと考えたときには、一番に犬猫の保護団体が頭に浮かぶと思います。しかし、保護団体はどこも保護犬猫でいっぱいで、一般の飼い主様からの引取りを行っている団体はごくごく一部になります。個別に問い合わせて引取り可能か聞こうとしても、メールや電話で連絡を取れる団体ばかりではありません。相談出来たとしても、お断りされることが多いのが現実です。
『譲受飼養業』への引き渡しが正当な方法
こうした状況の解決には、「飼育費を一括で支払って、犬猫を引き取ってくれる(所有権移転する)サービス」が必要となります。これは、動物愛護管理法の規制の中で『譲受飼養業』と言われるカテゴリーの業種になります。
実は一般のホテルが犬猫の引取りを有料で行うことはできません。一般のホテルは『保管業』であり、あくまでも、飼い主のいる動物の保管を行う業であって、所有権を引き取る業ではないからです。保護団体なども譲受飼養業の許可を取っていないところが多く、その場合、有償での引取りは違法になります。
しかし、譲受飼養業はまだまだ一般のサービスとして広まっていません。当団体では、2017年から譲受飼養業を登録していますが、全国的にもまだ200事業者程度の数になっています。受け皿となる業者や団体が増えていくことが望まれます。
当団体による引取り
当団体は、こうした困りごとに対応するため、譲受飼養業の登録を行っています。元々は、ペット後見サービス(万が一飼い主が飼えなくなった際の引取りを行うサービス)として始めました。
費用としては、飼育費用1頭あたり100万円(10kg以下の場合)+契約金10万円とさせていただいています。先に触れたようにペットホテル同様、当団体での飼育にも費用がかかります。当団体ではトレーナーや獣医師など専門スタッフを雇用して飼育を行っています。地代家賃や水道光熱費などもかかります。100万円では終生飼育は難しいのが現実です。
そこで当団体では、引き取った犬猫について、可能な限り飼い主を探すという対応を行っています。新しい飼い主を見つけることができれば、飼い主を探している間の期間の飼育費として、100万円でも対応できる状況としています。


