当団体(NPO法人人と動物の共生センター)では、岐阜本部を中心に、東京支部、浜松支部、鳥取支部の4拠点で活動しています。
当団体では、将来飼えなくなることに備える、ペット後見制度の普及を行っておりますが、飼えなくなった犬猫の引き取りについての相談も多く寄せられています。当団体では引き取り費用については以下の通り設定しています。
また、飼育費用の設定をどのように考えているかについて、その設定根拠についてお知らします。
当団体における飼育費用
当団体では、犬猫の引き取りを行う場合基本的に新しい飼い主を探す前提で引き取りを行っております。
費用について
- 飼育費用
- 体重10キロ以下の犬猫:100万円
- 体重10キロ以上の犬猫:体重×10万円
- 医療費
- 引き取り後速やかに健康診断を実施いたします。
- 治療が必要な疾患がある場合は、治療費のご負担をお願いしています。
- 避妊去勢手術未実施の場合、手術費用をご負担いただきます。
- 契約費用
- 1件あたり10万円
- 出張費用
- 出張による引き取りを行う場合は、出張費を頂戴いたします。
対応地域
当団体は、岐阜本部を中心に、東京支部、浜松支部、鳥取支部にて活動しています。基本的に当団体まで犬猫をお連れいただける場合、地域に関係なく対応しております。出張による引き取りを希望される場合は、日本全国対応いたしますが、遠方の場合出張費用が高額になる場合があります。
問い合わせ方法
当団体に引き取りを依頼される場合は、問い合わせフォーム、もしくは、お電話よりご連絡ください。施設の空き状況次第で、対応ができない場合がございます。ご了承ください。
お気軽にお問い合わせください。058-214-3442受付時間 9:00-17:00[不定休]
お問い合わせ飼育費用の考え方
犬猫の飼育費用は安くはありません。ここでは、どのような考え方で飼育費用を設定しているか解説します。
①親族や友人の場合
親族や友人に飼育してもらう場合、医療費やフード代、トリミング代などの直接的な費用についてはきちんと負担したいところです。しかし、飼育そのものに人件費がかかるわけではありません。また、その子を飼育することで、引き取り手となった親族や友人がその子を自分のペットとして育てていく、可愛がっていくという側面もあります。そのため、将来的に親族や友人が負担する飼育費の全額を必ず用意しなければならないかと言うと、絶対ではないでしょう。親族や友人との信頼関係の中で、妥当なレベルのお礼をするという形で飼育費用を残すという考え方もできます。
例えば犬の飼育費は、年間30万円ほどという統計があります。寿命17年として考えると、11歳の犬の飼育をお願いする場合、30万円×6年=180万円となります。晩年は医療費がかかる傾向にありますから、20万円をプラスして200万円くらいの飼育費になることが想定されます。
この時、将来的な飼育費用が約200万円かかるとしても、100万円遺すから、引き取ってほしいと依頼することは、相手との関係性次第で、問題のない場合もあります。もちろん満額準備しておくに越したことはないですが、親族や友人からそんなにも受け取れないと言われる場合もあるかもしれません。絶対に満額払わなければと考えてしまうと、逆に融通が利かなくなってしまうかもしれません。
年間飼育費用は、犬で約30万円、猫で約20万円と言われます。飼育期間が10年の場合、飼育費用の総計は、犬で300万円、猫で200万円です。
以上のような情報から、親族や友人に飼育をお願いする場合には、飼育費用として、おおよそ、100万円から300万円の範囲で用意するのが妥当と言えるでしょう。
②事業者による終生飼育の場合
事業者の場合、医療費、フード費用、トリミング費用の他に人件費や設備費を考慮しなければなりません。動物取扱業者では、動物愛護管理法の飼育管理基準を守る必要があり、当然、基準を逸脱した詰め込み飼育は法令違反となります。事業所ごとに飼育できる頭数の上限を定めており、登録時に保健所に上限頭数を申請しています。
ペット後見で、事業者に終生飼育を依頼する場合、その事業者は、引き受けた子が亡くなるまで一頭分のスペースと人手を使い続けることになります。それは、事業者にとって、別の子の預かりができなくなることを指します。保管の事業で収益を上げている事業者にとって、一頭分の労力とスペースは、決して、小さなものではありません。その機会損失を保証するだけの費用を見積もる必要があります。
皆さんは、ペット後見で事業者にペットを託した後、どのようなお世話をしてほしいと希望しますか?散歩に行き、ブラシをして、一緒に遊び、ご飯の世話をして、排泄の世話をして、病気になれば病院にかかり、体が動かなくなれば介護して、最後まで看取る。きっとこのようなイメージをお持ちではないでしょうか。
このようなお世話をしてもらうに、一日あたり、どれくらいの時間が必要でしょうか。1日1時間だけの世話で十分と言えるかというと、なかなか難しいかもしれませんね。犬であれば、1日2回散歩に行って欲しいですよね。1回あたり、少なくとも30分程度の時間がかかります。前後にブラッシングなどのケアも当然必要ですし、関わりの中で遊びやトレーニングなども入ってきます。トリミングに連れて行く、あるいはスタッフ自身でシャンプーや トリミングを行うこともあるでしょう。日々の健康チェックのため、食欲があるか 、排便排尿が正常か、そうしたチェックにも時間がかかります。そうした時間すべてに人件費が発生していきます。これに加えて、一般家庭と違い、地代家賃、水道光熱費も加算されます。動物の世話には時間もお金もかかるのです。
時給1200円の人が、1日1.5時間使ったとすると、人件費は1800円。社会保険料の事業主負担分を載せると約2100円。地代家賃と水道光熱費で300円としましょう。これにフード代1日あたり200円(月間6000円)、予防医療費1日あたり100円(年間36,000円)としても、合計で2,700円/日。利益を載せないとしても2,700円×30日=81,000円です。消費税を加算して89,100円となります。ペットホテルや老犬老猫ホームでの、長期預かり料金の相場は、犬で10-15万円/月、猫で5-8万円/月、1年間の飼育で、犬で120〜180万円、猫で60〜96万円程度ですが、動物の飼育の手間を考えると、決して高くないことがわかります。
もちろん、実際に必要な飼育費用は、地域、飼育設備の状況、世話の方法によって増減しますが、人件費を含めた費用全体を考慮すれば、このくらいの額が相場となることは理解しておくと良いでしょう。
これがさらに、終生飼育の費用となると、非常に高額になります。犬猫の平均寿命は、犬で14歳、猫で15歳程度ですが、これはあくまで平均であって、犬では17〜18歳、猫では20歳まで生きる子は少なくありません。ペット後見で事業者を引き受け手として、終生飼育をお願いする上では、犬では17歳、猫では 20歳まで生きることを想定して、飼育費用を残すべきです。現在10歳の犬ならあと7年、10歳の猫ならあと10年あります。犬で120万円×7年=840万円、猫で60万円×10年=600万円と、相当な金額が必要となってしまいます。
一方で、スタッフが完全ボランティアの動物保護団体だと飼育費用はどうなるでしょうか。飼育の人件費がかからないことから医療費やフード費用のみで済むんじゃないかと思われるかもしれませんが、そのように、安易に考えるべきではありません。ボランティアというのは、ボランティアをする人が任意に行ってこそボランティアです。将来的にいつやめてもいい状態こそ、ボランティアと言えます。ペット後見は、10年後、15年後の保証を提供する取り組みです。それほど先の未来を保証することは、ボランティアが担うべき内容とは言えません。また、ペット後見で引き取り手になるには、第一種動物取扱業の登録が必要ですが、雇用のない完全にボランティアの団体は、動物取扱責任者を置くことが難しいため、登録が出来ず、法的な問題も生じます。第一種動物取扱業の登録をしていて、中核となる有給の従業員が複数いて、そのサポートをボランティアがしているという体制の団体であれば、引き受けが可能になりますが、そのような団体は、ペットホテル等の事業者と同じ程度にはコストが生じてくると考えたほうが良いでしょう。
一般の事業者であっても、動物保護団体であっても、飼育には相当な費用がかかりますし、終生飼育費用となるとなおさらです。おそらく、これだけの高額の費用を、動物のために用意できる方は、多くはないと思います。だからこそ、飼育費用を圧縮できるようなやり方が必要となってきます。重要なことは、事業者に終生飼育をお願いするならば、これくらいは必要であるということを飼い主が認識しておくことです。
③譲渡を前提とした一時預かりの場合
事業者に終生飼育をお願いしようとすると、その終生飼育費用は相当に高額になります。だからと言って、親族や友人が引き受け手になってくれる人がいなければ、事業者に引き受け手担ってもらうしかありません。現実的な価格で、ペット後見の保証をするためには、終生飼育以外の方法を検討すべきです。
高額な飼育費用の問題を解決する方法として、終生飼育ではなく、事業者が一時的な保護を担い、新しい飼い主に譲渡するという考え方があります。事業者が一時的な保護の部分だけを担えば、飼育費用を圧縮できると言う考え方です。
8歳や10歳の子だとなかなか譲渡が難しいのではないかと感じる方が多いと思います。実際、譲渡は容易ではないのですが、絶対にできないということでもありません。特に高齢者で、一般の保護団体や行政から、譲渡を受けられない方は、若い子よりもむしろ自分の年齢に合う高齢の子を迎えたいと考えている方も少なくありません。そうした方にマッチングしていくと言う方法が考えられます。
また完全な譲渡ではなく、預かりボランティアの形で、長期に預かってもらうという形もあります。第一章で紹介した、永年預かり制度のやり方ですね。「自分で責任を持って最期まで飼育するのは難しいかもしれない、でも、動物と暮らしたい」と考えている方に飼育をお願いすると言うことができます。
ペット後見を依頼したい飼い主と、保護動物の飼育を行ってくれる新しい飼い主との間を取り持つのが事業者という形であれば、飼育費用を大幅に圧縮することができます。
④互助会形式の考え方
終生飼育ではなく譲渡を前提とした費用を遺すという形式を採用した時に問題となるのは、譲渡が難しい場合です。事業者が引き取った時点ですでに介護が必要な状態だったり、日常的なケアが必要な疾患を持っている場合、あるいは、すでに10-12歳を超えているような場合、なかなか新しい飼い主は見つかりにくいです。譲渡までの費用として例えば1年分の費用を残しておいてもらっても、終生飼育するには十分でなく、足りなくなってしまうことが考えられます。
この課題を解決するためには、互助会形式での飼育費用の持ち合いが一つの解決策となります。ペット後見では、飼い主の不慮の事故や急な入院でペットの保護が必要になることが前提ですから、どのタイミングで飼育困難が生じるか、先に予定を立てておけるものではありません。動物がまだ若く譲渡しやすい段階で飼えなくなることもあれば、高齢となり譲渡しにくい段階で飼えなくなる可能性もあります。若くて譲渡しやすい段階で飼えなくなった場合、譲渡までの費用は比較的少なく済みます。一方で高齢となり譲渡しにくい段階で飼えなくなった場合、譲渡が難しく飼育費用が高額になる可能性があります。
当団体では、互助会形式で、このリスクを互いに持ち合うことができれば、一人当たりの負担を減らすことができるのではないかと考えました。
当団体で運営している、ペット後見互助会とものわでは、当団体が引き取ってから、新しい飼い主に譲渡するまでの費用を遺してもらう形にしています。具体的には、譲渡までの飼育費用として1頭当たり100万円(体重が10キロ以上の場合、体重×10万円)を遺してもらいます。契約の中には、終生飼育が必要な事例も出てくることを想定しており、その場合には100万円では足りなくなると考えています。一方で、早く譲渡できる事例では数十万円で済む場合もあります。これらの費用を補填平均化して、リスクを分散することで飼育費用負担を軽減できると考えています。また、私自身獣医師であり、他に獣医師の職員もいるため、獣医療費を圧縮できるということも、費用を割安にできるポイントの一つになっています。
また、ペット後見互助会とものわに入会する方は、飼育困難が差し迫っているという方は少なく、まだまだお元気な方が多いです。そのため、入会した方が、いずれ必ず飼えなくなるかと言うと、そうではなく、動物より人の方が長生きして、最後まで飼いきれることの方が多いです。会員の皆さんには、入会金や、月会費をご負担いただいておりますが、こうした費用も互助会組織の維持に役立てられており、多くの方が入会していただくことで、互助会がより安定していくという構造になっています。
互助会という方法は、メリットが大きいのですが、その分、安定的な運営には規模が必要です。是非是非皆様のご参加をお待ちしております。
どのような方法を選択するにしろ、どの程度の費用を遺すべきかについては、最終的には、ペットを託す引き受け手との相談により決めていく必要があります。どういう形で飼育をしてもらえるか、譲渡するかしないかも含めて、しっかりと納得できる話し合いを行った上で、金額を決めることが大切です。

