この番組は、人とネコとのより良い未来を目指して活動する皆さんにスポットライトを当てる番組です。全国には、人と動物のためにユニークな活動をされている方々が、たくさんいらっしゃいます。そういった皆さんから、どんなことを目指して、どんな活動をされているか、また、どんな苦労をされているかといったお話をうかがう番組です。2つの団体を一緒にお招きして、それぞれの特長や、共通する課題を浮き彫りにしていこうと考えています。視聴者の皆様の中には、動物のための活動をすでにしていたり、将来やってみたいと思う方もいらっしゃることでしょう。そういった皆様にも役立つヒントが見つかるかも知れません。
2回目のゲストにはNPO法人ファミーユ(愛知)の山本さんと代表の熊崎さん、ライフリレー博多ねこ(福岡)の木本さんにご参加いただきました。
【NPO法人ファミーユのご紹介】
https://www.npo-famille.org/
ファミーユは名古屋市を中心に殺処分ゼロを目指した団体です。犬や猫を引き出して里親募集をするのはもちろん、主に老犬・老猫・白血病の猫・威嚇しやすい猫など、殺処分になりやすい犬や猫を積極的に引き出しております。2012年8月に発足し、今年で10年目を迎えます。ファミーユではTNR活動を町内会や地域住民と協力をして、野良猫トラブルゼロを目指して地域貢献に取り組んでおります。
私が地域猫活動を知ったのは、地域猫アドバイザーの石森信雄さんが開催しているセミナーに個人で参加したのがきっかけとなりました。私たちのTNR活動は、猫好きな人にも猫嫌いな人にも理解していただけるように活動を開始する旨のチラシや、経過報告を記載したチラシを作成し、回覧板を活用して地域の方たちに周知しています。活動を知っていただくことにより、餌やりさんや野良猫の情報を地域の方から提供していただくこともあります。たくさん野良猫がいる地域では、どこにどの野良猫がいるかという資料をまとめておくとよいです。TNR活動中は車の下を覗いたり、変な人だと思われてしまうので、住民の方たちと目が合った時に率先的に挨拶して不審者ではないことをアピールしたり、ゴミ拾いをして地域へ貢献しています。現在は去勢避妊手術は全頭完了し、餌やりさんに正しい餌やり方法の指導等をおこなっています。
【ライフリレー博多ねこのご紹介】
http://hakataneko22.g2.xrea.com/
2010年8月から、殺処分ゼロを目指して動物福祉の現状を変えようと集まった有志のメンバーと、当時の行政の職員さんが2名参加してくださって、行政と一緒になり、直接行政の職員さんへの質疑応答など、月に1回、月例会合を行ってました。この月例会合から「ライフリレーネットワーク」という任意の団体を設立し、行政と共同してやっていく方法を模索していましたが、なかなか思うように進みませんでした。その当時の動物管理センターは割と閉鎖的で動物愛護団体や一般の方が出入りすることはしていなかったのですが、動物管理センターを殺処分するところから生かすための施設にしていきたいということで、2009年から福岡市で飼い主のいない猫の支援事業(地域猫活動)を計画し始めました。多分、日本で初めて行政のセンターで避妊・去勢をしたのは福岡だと思います。「TNR博多ねこ」という活動も行っており、餌をあげる人がこれ以上野良猫を増やさないように手術をしたいが捕まらない。捕まえても手術する費用が続かない。ということで胸を痛めつつも餌やりはやめられない。という意見が多かったです。
TNR博多ねこでは、毎月1回の天神のパルコ前で街頭募金活動と、会員様の年会費(3000円)を助成金として2020年はオス111匹、メス129匹の避妊去勢手術を行いました。今はコロナの影響で天神のパルコ前での街頭募金活動を休んでいますが、来年から再開予定ですので、福岡市内にお住まいの方はご協力をお願いいたします。ライフリレー博多ねこは、人と人が思いやり、子供たちへ優しさを伝えていく。そんな社会を応援しています。
【視聴者からの質問も交えての対談】
【ライフリレー博多ねこ から NPO法人ファミーユ への質問】
Q.譲渡するスペースが限られていると思いますが、受け入れの線引きはどうしていますか。
A.行政からの引き出しを行っており、個人からの受け入れは行っておりません。
【NPO法人ファミーユ から ライフリレー博多ねこ への質問】
Q.一番の悩みですが、TNRをしているときに見るからに病気にかかっている子がいると思うのですが、入院が必要な子に対して、お金やお世話するのはどうしていますか。
A.成り行きで変わってくると思うんですね。餌やりなどお世話をしてきた子なのか、たまたま見つけた子なのか。お世話をしていた子なら、迷わずに病院にとお伝えするが、たまたま見つけた子なら、抗生物質を混ぜたごはんを与えて連れて帰って面倒を見るように伝えます。
【共生センター から NPO法人ファミーユ への質問】
Q.TNR中に行っているゴミ拾い用のゴミ袋はボランティアしてる人に行政が渡しているの?
A.活動日時・場所を申請すると名古屋市から渡されるんです。TNR活動を行う前からゴミ拾い活動を行っていますが、地域の方によく「頑張ってね!」と声をかけられます。
【視聴者からの質問】
Q.避妊去勢を続けたら猫は絶滅してしまうの?
(山本さん) 絶滅するのは本当に数が少なくなった時だと思います。今は多すぎですが、猫は1年に20匹子供を産むので、避妊去勢をしても絶滅するほど少なくはならないと思います。
(木本さん)猫をゼロにする必要はないと思っています。猫がいても気にならない町なら手術する必要はないと思います。
(鈴木)持論ですが、野良猫はいなくなっても、猫はいなくならないと思っています。(鈴木さん)
Q.外猫の中でも譲渡できる猫ちゃんと、避妊去勢して元の場所に戻してお世話したほうが適している猫ちゃんがいると思いますが、その線引きはどうしていますか?
(山本さん) 基本的にはTNR活動では元の場所に戻すことが条件となります。名古屋市でも元の場所に戻さないと助成金は出ません。すごく人になついていて、里親が見つかる場合は引き渡します。線引きは、ものすごくかわいいか、里親の気持ち次第ですね。
Q.近所の野良猫一家の保護をしてTNR活動をしたいのですが、捕獲器や一時的に保護しておける場所がありません。どこに相談するといいのですか?
(山本さん)名古屋市は捕獲器を貸してくれます。
(鈴木)私は一時的に保護する場所として車を利用しますね。
(木本さん)車がない場合、玄関先やお風呂場など、雨風をしのげる場所なら大丈夫ですよね。
(山本さん)捕獲器などにタオルを掛けて暗くしておくと猫は落ち着いてくれますよ。
Q.地元の企業に求めることはありますか?どんなサポートをしてほしいでしょうか?
(木本さん)地域にある企業であれば、手術までの一時預かりの置き場所、企業の広報力でTNR活動を伝えてほしいです。
(熊崎さん)ファミーユでは法人会員を募集していますので、法人会員になっていただくとありがたいです。現在も某企業の犬猫部がファミーユの犬猫を預かってくださったり、里親募集を社内で行っていただいたりしています。
【各団体からのお知らせ】
◆NPO法人ファミーユ 山本さんから。
ナイキ君の里親を募集しています。猫エイズ陽性ですが、猫エイズは猫の間でだけ感染するウイルスで、生涯発症せず元気に過ごす子もたくさんいます。とにかくパワフルで私たちを飽きさせないくらい元気いっぱいです。この1年はワクチン以外で病院に通うこともなく、自由気ままに過ごしております。ナイキ君はインスタもやっているので、ぜひご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
◆ライフリレー博多ねこ 木本さんから
HPに入会案内やご支援金の振込先の案内があります。ブログでは優しい家族を待っている猫ちゃんたちがたくさんいるので、ぜひご覧くださいFacebook、Twitterも「ライフリレー博多ねこ」で検索すると出てきますので、よろしくお願いいたします。
【本日の感想】
◆NPO法人ファミーユ 山本さん
人前でこのように話す機会があまりないのですが、この放送を機に私のようなただの会社員でもできることはあるんだと、気付きになって、今後未来のボランティアさんが増えて、一緒に活動できることを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。
◆ライフリレー博多ねこ 木本さん
今日はいろいろありがとうございました。なかなかつたない話で申し訳なかったのですが、山本さんもおっしゃったように、私も普通の主婦ですが、それでも一歩知ることでできることも改めて思ったので、自分ができる活動がどこかにあると思うので、ぜひ一歩を踏み出してください。
◆鈴木
この番組が全国の皆様とつながるきっかけとなり、後押しになれば本当に嬉しく思います。本日は皆さん、ご視聴ありがとうございました。