2023年度活動のハイライト
1.ペット後見活動の進展
ペット後見互助会とものわの活動が進展し、問い合わせの数、契約数共に増加したことは、2023年度の大きな変化であったと言えます。2017年度から個別相談をスタートさせ、2022年度末に8件だった契約数は、2023年度末時点で契約済13件+契約作成中3件、合計16件と1年間で倍増しました。特に2024年1月以降は、月に1件程度のペースで契約を作成している状態となっています。
ペット後見の相談の中では、動物たちのために遺産を活用したいという方から、遺贈寄付の相談を受けることもあり、実際に遺言書を作成していただいている寄付者の方もいらっしゃいます。大変ありがたく、心より御礼申し上げます。
当団体では、生活困窮ペット飼育者の支援を行っておりますが、生活に困難を抱えた方は、飼育費用を負担できないということも少なくありません。そうした方への支援について、多くの保護団体では無償で引取りを行い、その負担を保護団体や個人ボランティアが負担する状況になっています。当団体でも、一定の費用負担を求めてはいますが、お支払いが難しいというケースも少なくありません。このようなケースで、動物保護団体や当団体のようなNPOがその負担を全て追い続けるということは、持続可能とは言えません。
「自分の大切な家族のためにお金を遺したい」という方や、「自分の大切な家族だけでなく、困っている動物たちのためにお金を遺したい」という方に、ペット後見で飼育費用を遺したりや、遺贈寄付を行っていただけることは、動物保護という分野の持続可能性を高める上で非常に重要です。ペット後見は、その枠組み作りであり、2023年度にペット後見が注目され、利用者が集まってきたことは、動物保護というものの変化の兆しであると考えています。2024年度も引き続きペット後見の浸透を図ります。
2.動物避難所登録数50件に(鳥取支部)
2023年10月から、中国五県休眠預金活用コンソーシアムの助成を受け、NPO法人全国動物避難所協会と共に、『中国5県における発災時の相互支援体制構築に向けた地域の支援団体育成・強化事業(2023年10月~2026年2月)』をスタートさせました。これまで全国動物避難所協会と進めてきたうちトコ動物避難所マップの運営と、同サイトを通じた全国の動物避難所の登録について、中国五県を中心に、さらに進めていこうとする事業です。この事業を中心として、うちトコ動物避難所マップの動物避難所の登録数は、全国50件に達し、順調に増加しています。
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震に関しては、被災地に動物避難所がなく、被災地の状況が把握できず支援が遅れてしまいました。結果として、ペット関連企業様の協力を得て、ペットフードなどを現地にお送りすることが出来ましたが、動物避難所のネットワークがあれば、もっと素早く支援が出来たと考えております。
このような教訓を胸に、より一層、ネットワークを拡充できるよう、当団体としても、全国動物避難所協会の活動をバックアップしていきたいと考えております。
3.生活困窮ペット飼育者支援における官民連携
2022年度に動物相談ホットラインを開設し、社会福祉関係事業所等と連携した、生活困窮ペット飼育者支援を実施してきました。2023年度は、新規電話相談が208件、訪問支援のべ訪問回数380回と非常に多くの相談が寄せられるようになりました。
しかし、生活困窮ペット飼育者支援の事業は財源を助成金に頼りきっており、持続可能性がないこと、同じ課題に取り組む他団体も財源的に困窮していることから、行政の中で予算化していくことが必要であると考え、政策提言に向けた円卓会議を4回実施しました。
岐阜市では、市議会の一般質問でこの問題が取り上げられ、「単に、犬猫などの動物の飼育の問題として捉えるのではなく、社会的孤立や生活困窮など飼い主の問題と捉え、対応することが重要」「問題の早期発見や深刻化を防ぐためには、それぞれの支援機関がアンテナを張り(中略)速やかに関係機関につなぐ体制がより重要」「岐阜市介護支援専門員連絡協議会や民生委員・児童委員協議会、地域包括支援センター連絡会など様々な機会を捉えて(中略)周知啓発」等の答弁がなされました。
まだ、政策の中で予算化していくという方向性は見えていませんが、官民連携の必要性については強く確認することが出来ました。官民が連携した早期発見早期対処がより一層進んでいく事が期待できると考えております。