今回は猫と人の住まいについて考えます。
どんな家だったら、猫も人も楽しく、うれしいのでしょうか。
ゲスト講師として一級建築士で猫シッターのいしまるあきこさんをお招きしたスペシャル企画です!

普段から猫との住まいの困りごとや、その解決を普段からやられている、いしまるあきこさんに、今回は著書「猫と住まいの解剖図鑑」の内容を使って具体的に、そしてご家庭で真似しやすく、すぐに取り組めそうなことを中心にお話をしていただきました。



◆家全体のルール ※完全室内飼育が前提
 【猫も人も無理をしない】
  猫と人ではコミュニケーション方法がだいぶ違うので、ひとつ屋根の下で共に快適に暮らすためにはまずその違いを理解していくことが必要です。
  猫のために無理してしまう方が多いと思いますが、まずは自分自身が快適であることを意識すると、自然と猫も人もお互いに快適な暮らしが実現できるのではないでしょうか。

 【住まいは猫とのシェアハウス】
  猫と人間ではかなり習慣が違う動物なので、うまく暮らしていくためには、お互いの違いを意識する必要があります。
  「シェアハウス」では、その家のメンバーに合わせて家ごとのルールが必要になります。まずは人間に無理が生じないように人間側のルール作りを考えていきましょう。
  分かりやすい例でいうと、猫に入ってほしくないところを決めるということです。猫にとって危ないところや、人間が困るところなどを猫に入ってほしくないところになると思います。
  猫にとって危ないところは、浴室は水没事故の危険性がありますし、洗濯機も洗剤に触れてしまったら危ないです。
  また、人間が困る場所としては、毛だらけにしたくないのでクローゼットには入ってほしくないとか、大事なものが置いてある部屋には入ってほしくないなどが考えられます。


◆猫目線で考える
 【ポイント1 猫の目の高さを意識する】
 猫と人の目線を近づけることで仲良くなります。
人の目線の高さの目安は下記の通りです。
 ・床に座った状態:人の目の高さは80㎝~90㎝。
 ・イス、ソファに座った状態:人の目の高さは130㎝程度。
 ・立っている状態:人の目の高さは身長 - 11㎝。

 【ポイント2 猫の錯覚を理解する】
 猫は静止視力があまり良くなくて、動体視力が優れているという特徴があります。
 普段はぼんやりとしか見えていなくても、動いているものはクリアに見えているという風に言われています。
 そのため、透明な板のキャットウォークなどは、透明な板の下で動くものが視界に入ると、どうしても動くものに気を取られてしまい、事故が起きやすいので、避けていただきたいです。


◆快適な猫トイレ ※多頭飼育は特に重要!
 【ポイント1 トイレの数と面積】
 ・理想のトイレの数は「頭数+1個」の意味としては、猫は脚が汚れるのを嫌がるので、ウンチがしてあるところには入りたくなくて我慢してしまうんです。
 トイレを我慢してしまうと泌尿器系の病気になりやすい状態を引き起こしますので、猫の健康を考えれば「頭数+1個」が理想となります。
 ・理想の数まで増やせない場合、もう少し柔軟に考えて「頭数+0.5個」や、大きなプラスチックケースなどを代用して砂の面積を広げても良いと思います。

 【ポイント2 他の猫からの視線】
 ・多頭飼育ではものすごく大事なのですが、「他の猫から見える・見えない」が使用頻度と使用内容に影響しています。
 ・手前のトイレは使用頻度が多く、奥にあるトイレはゆっくりウンチをする傾向があります。


 【ポイント3 入口の数と広さ、配置】
 ・多頭飼育で仲が悪い猫同士がいると、トイレ前で争いが起きやすいので、トイレの出入り口を広くするか、複数個所の出入り口を設けるようにすると良いです。
 ・仲が悪い猫同士の場合、トイレの置き場所を複数個所に離して配置をしていただくことで、1つのトイレで待ち伏せをされていても、もう1つのトイレに行けるので、トイレを使用できない猫がいない状態にすることは猫の健康のためにとても大事です。


◆いしまるさん、伊藤先生、鈴木さんの対話
 鈴木さん:ありがとうございました!本当に猫愛に溢れているというか、猫の身になって考えられているんだなと思いました。伊藤先生いかがですか?
 伊藤先生:自分が猫だったら、いしまるさんの家に住みたいですね。楽しそう!
 いしまるさん:仲の悪い子もいるので、本当は増やすつもりはなかったのですが、里親さんが見つからなかったので。SNSを見ても、仲が悪いことを悩んでいる方も多いように感じますが、トイレの問題は健康に関わる問題なので、大掛かりなリフォームをせずとも配置を変えるだけならすぐにできるので、是非取り組んでいただけたらなと思います。


◆視聴者からの質問
 Q.どうしても布団で粗相をしてしまう場合、部屋に入れないしかできないのでしょうか。
 いしまるさん:ペットシーツや新聞紙だったらしてくれる場合があります。
  猫がカサカサしているものや布っぽいものの方がトイレだと認識している場合、できる限りその感触に近いトイレを用意してあげるのが解決方法の1つです。
 鈴木さん:うちにも布団で粗相してしまう子がいるのですが、カゴや段ボールが好きで、カゴにペットシーツを敷いたらそっちでしてくれるようになりました。
  たまに布団でも粗相してしまいますが、頻度は減りました。

 Q.災害時に避難所での猫の健康管理で必要な対策は?
 伊藤先生:避難所では自宅とは違うニオイがするのでできれば避難所ではなく車内で過ごせられると一番いいのですが、それをやろうとすると、普段からキャリーの中でくつろぐことができるようにしておく必要があります。それができれば猫のストレスは少なくなると思います。
 いしまるさん:キャリーに慣れさせる方法として、日常的にキャリーの中でおやつやご飯をあげて慣れさせることができます。


◆いしまるさんからの告知
 ・InterFMとJFN加盟局で月~金で放送されてる ロバート・ハリスさんの『大人のラジオ ALEXANDRIA』という番組の「生き物の物語」というコーナーで12月の最終週にお話をしますのでよかったら聞いてください。
 ・猫と暮らし方とか、これから迎える方も猫との住まい相談や点検に出張やオンラインでご対応できますので、是非ご相談ください。
 ・YouTube「ねこのいえチャンネル」登録お願いいたします!
 ・書籍『猫と住まいの解剖図鑑』もよろしくお願いいたします。


◆参考URL
 ・ねこのいえ不動産
  URL:http://nekonoie.info/
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 ・ねこのいえチャンネル
  URL:https://www.youtube.com/channel/UCbbOBilFdxqpFs7RFqqjIww
  狩りごっこや、猫砂の粉塵除去などマニアックな内容もあります。

 ・猫と住まいの解剖図鑑
  URL:https://xknowledge-books.jp/book/9784767827278/