ということで、今回は事前にいただいた質問に答えていただきました。

◆1つ目のご質問


 16歳のシニア♂ネコです。心臓病あり毎朝晩薬をやってます。慢性的に便秘で、筋肉衰えでなかなか出ず、りきみすぎてよく吐き、やっと飲んだ薬まで出てしまいます(TДT)
 便秘解消のために朝晩ザ・ガードコーワ1錠ずつをお薬に混ぜたり、マッサージやブラッシングもしますがどんどん効かなくなってます。
 オリーブオイルをご飯に少量混ぜたりもするのですが(直接は辛くて飲めない)・・病院は泡を吹くほど大嫌いなのでなるべく連れて行きたくありません。
 何か便秘解消の良い方法はないでしょうか?よろしくお願いいたします。

◆回答


 便秘は原因が一つだけじゃなかったり、いろんなことが重なって便秘になってたり、使えるお薬もその子その子で違ったりするので、あくまで参考にということでお聞きいただければいいかなと思います。
  ※ご紹介する方法は、その子に適したものもあるかもしれませんが、持病などで適さない方法もありますので、事前に掛かりつけの先生に相談して、その子にとって負担の少ないものを行うようにしてください。

【1. 食物繊維系】
 腸の中で食物繊維が体内の水分をウンチの方に引っ張ってきてくれるので、ウンチが柔らかくなったり、腸の動きが良くなる作用があります。
 ご飯やサプリメントがありますが、注意点として、持病を持っている子はここで紹介したご飯を推奨されない可能性があります。また、食物繊維は体内の水分が腸に動くので、脱水している子にあげると良くありません。

【2. 潤滑油系】
 オリーブオイルや流動パラフィンという液体の試薬をご飯に混ぜてあげると、すべてが腸から吸収されるわけではなく、そのまま腸の中で肛門の方に流れていくので、ツルッと出やすくなります。
 注意点としては、オリーブオイルも流動性パラフィンも誤嚥してしまうと誤嚥性肺炎のリスクがあります。無理やり飲ませるのではなく、ご飯に混ぜるなどしましょう。

【3. 便軟化剤】
 「ラクツロース」は糖類の液体の薬で、腸の中のアンモニアという成分を下げるための薬として売られてたりしますが、これも腸から吸収されない糖類なので、繊維と同じく、そこに水分を引っ張ってきて便を柔らかくします。
 「酸化マグネシウム」は人間の便秘薬でもありますよね。

【4. その他】
 ①腸運動促進薬
 便秘が酷い子は、りきみすぎると吐いてしまう子が多いので、吐き気止めの一つとして腸の動きを促進する薬を使ってあげると吐き気も起こりにくくなり、腸の動きが良くなって便通も良くなるので、腸運動促進薬を使うこともあります。

 ②鎮痛剤
 高齢になってくると「馬尾症候群」という人間でいう坐骨神経痛のような症状が出ることがあります。
 こういった他の病気があるがゆえに結果的に便秘になってるということもあり、そういう場合は鎮痛剤を使ってあげると、りきみやすくなる可能性もあります。
 注意点としては、今回のご相談者さまの猫ちゃんのように持病を持っていると鎮痛剤の使用は適さない可能性があります。

 ③消炎鎮痛系サプリ
 ワンちゃん猫ちゃん用に、オメガ脂肪酸の入った、ちょっと痛みを抑えてくれるようなサプリも出てきているので、こういうのを使ってみてあげるのも良いかなと思います。

◆2つ目のご質問


 保護活動をしているものです。
 時々、譲渡した猫さんが急にお粗相をし始めて困ると相談があります。
 譲渡するときに、新しい家族の方にどう指導するとよいでしょうか

◆回答


 譲渡したということは、猫ちゃんにとっては今後一緒の家族になるお家に行けたわけで非常にハッピーではあるんですけど、ただ本人からするとまだ緊張もするだろうし、不安もあるだろうし、寝る場所も変わるわけだから、そういう環境の変化っていうのも結構大きいのかなと思いました。
 その中でも少しでもトイレに馴染んでくれるようにどうしたらいいかということでちょっと考えてみました。
 
【1. トイレ】
 基本的には、外で生活してきた歴が長い子であれば、外の環境に近いトイレを用意してあげると良いですね。
 解放感のある蓋無し・大きめなトイレ、細かい砂など。
 ただし、多頭飼育だったり、新しい飼い主さんに馴染めてなくて怖がって隠れたい子もいますので、そういう場合には蓋付きのトイレを用意してあげると良いと思います。

【2. ストレス】
 ストレスが原因でトイレがうまくできない場合、猫ちゃんが安心できる隠れ場所を作ってあげるとか、ストレスを緩和するサプリメントや、本当にどうしようもないという子は不安を和らげてあげるお薬を使うケースもあります。

【3. 膀胱炎】
 ストレスが元で膀胱炎などの病気になることがあります。
 膀胱炎かどうかの判断として、残尿感・頻尿・血尿があるので、この照応が見られたら病院へ行った方が良いです。
 単純にストレスからトイレを嫌っているわけではない可能性もあるので、注意してください。

【4. マーキング】
 譲渡されたのでおそらく避妊去勢手術を終えられてから譲渡されている方が多いとは思いますが、去勢手術をしていない男の子の場合は、環境が変わるとマーキング魂に火が付きますから、去勢手術を早々に行っていただいた方が良いと思います。

譲渡するときにどのように指導すれば良いか、という点では、保護主さんのところで使っていたトイレと猫砂をお貸しすることができればベストですが、お貸しできないにしても、同じ形のトイレを用意していただき、使っていた猫砂をお渡しすると良いですね。

◆3つ目のご質問


 わが家の推定14歳の三毛猫(♀)がいます。去年の秋頃から頻繁に大きな声で鳴くようになりました。
 オヤツが欲しい時や外に出たいとき以外にも一人でウォーウォーっと唸るような感じで鳴いたりします。
 心配して声をかけると「ニャッ」と何もなかったようにかわいい声に変ります。
 主治医に相談したら診察しても健康体で説明じゃ分からないので動画を撮るようにいわれ、撮ろうとするとすぐに鳴きやんだりしてなかなかうまくいかず・・・主治医にはもしかしたら認知症の可能性もあると言われました。
 たとえ認知症だったとしても、何か訴えたいのであれば何とかしたいと日々試行錯誤です。何か良いアドバイスを頂けたらありがたいです。よろしくお願いいたします!

◆回答


 認知症の診断は難しいです。まずは、鑑別診断といって、別の病気で認知症と似ている症状が出ていないか確認します。
 今ある症状が認知症の症状の可能性も高いかもしれませんが、他の病気からきているかもしれないので、そこをきっちりと調べておいた方が良いですね。
 認知症の主な症状は、無目的な俳諧、無駄鳴き、夜鳴き、トイレの失敗、異常な食欲、性格の変化、関心を求める行動の増加、不安です。
 実際に、10歳を超えると1/4ぐらいの子はほぼ認知症の症状があって、15歳超えると半分の子は認知症の症状があると言われているので、高齢の子は認知症はあって普通だと考えた方がいいと思います。
 ご相談者さまの質問を見ると、声をかけると何もなかったかのように普通に戻ったり、動画を撮ろうとすると鳴きやむとあるので、結構飼い主さんの関心を引こうとしているように見えますね。
 飼い主さんがカメラを構えると普通に戻ってしまうのであれば、スマートフォンや見守りカメラなど定点撮影すると良いかもしれませんね。

フミヤ先生、とても分かりやすく教えていただきありがとうございました!
楽しく学ぶことができました。
今後も登場してくださることを期待しております!
一年間、本当にありがとうございました。

◆水9のネコ過去のおさらい

皆様にご好評をいただきました「水9のネコ」は3月で2021年度シーズン1を締めさせていただきます。

2022年度はどんなネコ雑学にしましょうね♪乞うご期待!

第1回 子猫がわが家に! すくすく育てる5つのポイント(2021/6/23配信)

第2回 子猫のクロちゃんも安心! 家庭でできる消毒(2021/8/25配信)

第3回 生後6ヶ月、青春真っ盛り!健康に暮らすためのワクチネーションプログラム(2021/11/10配信)

第4回 猫も人も満足!猫との住まいの工夫(2021/12/15配信)

第5回 くろちゃんも大人の仲間入り!避妊去勢について考えよう!(2022/1/26配信)

第6回 フミヤ先生にききたい!ネコのことアレコレ(2022/3/23配信)