新しい幸せに出会ったまきちゃんのお話

「自分にもしものことがあったら、この子はどうなるのだろう…」
そんな不安を抱えながら、大切な犬や猫と暮らしている方が増えています。特に高齢の飼い主さんにとっては、病気や入院、施設入所といった理由で、これまでのように飼い続けることが難しくなることもあります。そんな心配をされている方のサポートを行っているのが、当法人が運営している、『ペット後見互助会とものわ』です。
今回は、青森からやってきた柴犬のまきちゃんと、その新しい家族との出会いを通して、共生センターのサポート体制と「託すこと、迎えること」についてお伝えします。
◆青森からのSOS
まきちゃんが当センターにやってきたのは、飼い主さんからの1本のご連絡がきっかけでした。
当時の飼い主さんは、末期がんと診断され、まきちゃん(柴犬・当時10歳)のこれからを心配されていました。最初はお姉さんがまきちゃんを預かることになりましたが、慣れない環境から吠えることが続き、近隣との関係にも影響が。。。
「このままでは、まきちゃんにとってもよくない」と判断され、当センターにご相談が寄せられました。その連絡を受けて、当センターの獣医師である奥田先生が青森まで直接まきちゃんを迎えに行くことに。
こうして、まきちゃんの“新しい家族探し”が始まったのです。
新しい家族を探すために、まきちゃんは当センターでの生活をスタート。当初は当センターでも夜鳴く行動が強かったものの、当センターが専門とする行動治療・トレーニングの甲斐もあって、徐々に落ち着いた生活を送ることができるようになりました。
まきちゃんの保護から数か月経った頃、ひと組のご夫婦と出会いを果たすことになります。

◆まきちゃんに一目惚れ
「犬を迎えるなら、ペットショップではなく、譲渡で」と考えていたご夫婦。県の愛護センターで講習を受けるなど、準備を進めていた中で出会ったのが、当センターのまきちゃんでした。
「イベントでまきちゃんの等身大パネルを見た瞬間、心惹かれて…吸い寄せられるように、翌日には電話して、週末には会いに行っていました」
実は、犬を飼うのは今回が初めて。それでも初対面のとき、まきちゃんが足元でリラックスしている姿を見て、「この子だ」と直感。奥田先生から「柴犬の保護犬の中では飼いやすい子」と説明があったこともあり、トライアルに進むことを決意されました。

◆成犬だからこそ、見える“安心”
まきちゃんは迎えた時点で10歳。「あと何年一緒にいられるのかな…」と不安もあったそうですが、実際に会ってみると、まきちゃんは若々しくて元気。不安な気持ちは消えていきました。
共働きだと子犬を迎え育てるのは難しいという現実の中で、すでにお留守番ができるまきちゃんとの暮らしは、無理のないスタートだったそうです。
「子犬は可愛さの反面、手がかかるし、どんな性格になるかも未知数。でも成犬は、その子の性格や生活への適応力がわかっているからこそ、自分たちの生活との相性を見極めやすい。もっと多くの人に、その魅力を知ってもらいたいですね」
成犬の譲渡が、特別なことではなく、当たり前の選択肢のひとつとして広がってほしい——。そんな願いも、ご夫婦は持っています。

◆迎えた後も続く、あたたかいサポート
もちろん、すべてが順風満帆だったわけではありません。
トライアルがスタートして2週間くらいは、まだ触らせてはくれないものの、お留守番もできたし、粗相もなかったのですが、、、
「これなら家族になれそう!と思い始めた頃、ごはんを作ることもできないほど、要求鳴きが始まってしまって…。初めは“猫をかぶっていた”みたい(笑)。夫が帰宅してまきちゃんの相手をしてくれて、やっと夕食の準備ができるような毎日だったので、夫が帰宅するまではまきちゃんと近所を徘徊(!)していましたね。」
困ってしまったご夫婦は、奥田先生に相談することに。アドバイスを受けて、「リードをつけて家の中を一緒に歩く」ことで、まきちゃんの不安が落ち着いていったそうです。少しずつ落ち着いてきたまきちゃんの様子を見て、正式に譲り受けることを決断されました。
「困った時にすぐ相談できる人がいるのは、本当に心強かったです」

◆まきちゃんと一緒に、広がっていく楽しみ
まきちゃんとの暮らしが始まった当初は、大変さに心が折れそうになったこともあったそうですが、ご夫婦はこう語ってくれました。
「あのとき、諦めずに向き合って本当によかった。今では、まきちゃんがいる毎日が本当に幸せです。」
旅行の楽しみ方も変わりました。犬と泊まれる宿が少ないため、キャンピングカーを借りて車中泊を楽しむなど、まきちゃんと一緒にできる新しい体験がどんどん増えていったといいます。
「まきちゃんを迎えたことで、行けなくなった場所もありますが、それ以上に新しい楽しみが増えました。私たちの世界が、ぐんと広がった気がします。」
「まきちゃんをきちんと共生センターに託してくださった前の飼い主さん、そしてまきちゃんを私たちにつないでくださった奥田先生はじめ、共生センターの皆さんにも、感謝の気持ちでいっぱいです。」

K様ご夫婦、お話を聞かせていただき、ありがとうございました!
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