2022年度活動のハイライト
1.人と動物の共生大学開校
人と動物の共生大学は、人と動物の共生のために、何かしたいと考える人が、学び、つながり、実践するオンライン市民大学です。2022年4月に本開校し、2022年度中に4000人を超える登録者の皆様と学びを深めることが出来ました。
人と動物の共生大学では、当団体が岐阜を中心に実践活動を行ってきた、各活動分野について、全国的なネットワークを形成し、各地で活動が活発化することを目指したセミナーやワークショップを開催しています。適正飼育普及啓発分野では、『問題行動解決塾』を開催し、行動学や問題行動治療の知識について情報提供を行っています。ペット後見分野では、『ペット後見共同学習会』を開催し、ペット後見に取り組む全国の事業者が横断的に横のつながりを持ち、協働してペット後見を広める活動を後押ししています。
2.生活困窮者ペット飼育支援『犬猫相談ホットライン』開設
近年、保健所に収容されたり、保護団体が収容する犬猫のうち、多頭飼育崩壊により過剰繁殖した犬猫の割合が増えています。各種統計においても特に成猫の収容が増えており、多頭飼育崩壊の件数が増加していることが伺えます。
当団体でもかねてからこうした問題の相談が寄せられていましたが、具体的な相談窓口等の形としての活動は行っておりませんでした。しかし、2022年度は、一般財団法人中部圏地域創造ファンドから助成金に応募し採択されたことを契機として、生活困窮しているペット飼育者本人や、その飼育者の支援にあたっている社会福祉関係者からの相談を受け付ける「犬猫相談ホットライン」を2022年8月に開設することができました。当初より多くの相談が寄せられ、寄せられた相談に対して、訪問による支援を実施しました。3月までに電話相談53件を受け付け、のべ93回の訪問支援を行いました。
「犬猫相談ホットライン」を開設したことにより、これまで顕在化していなかった、生活困窮者のペット飼育問題の実態が明らかになってきました。相談は、飼育者自身に精神や発達の障害があったり、社会的孤立状態にあるなど、動物だけの問題ではなく、人側への支援の必要性が高い案件が多くを占めました。多頭飼育崩壊を初めとした地域で起こる動物問題を解決するためには、動物だけをどうにかしようとするのではなく、人への支援を合わせて実施していき、その人自身が自立・自律していく後押しをすることが重要であると実感しました。
これらの内容については、『生活困窮者のペット飼育問題調査・活動報告書』として取りまとめております。(https://human-animal.jp/activity/konkyu/6606.html)
3.鳥取支部設立
2022年12月に臨時総会を開催し、岐阜本部以外の初の拠点となる鳥取支部を開設いたしました。鳥取支部の支部長の松本温子は、人と動物の共生大学の取り組みの中で当団体と出会い、2022年度に生活困窮者ペット飼育支援事業の有給スタッフ募集に応募、鳥取から岐阜に半年間の単身赴任で事業に携わりました。
当団体も11年目を迎え、他地域での拠点についての議論は度々出ている状況でした。そんな中で、松本より半年の勤務を終えた後も、岐阜での活動を鳥取で継続したいという意向を聴き、支部設置のテストケースという位置づけで、鳥取支部を設立することとなりました。
今後は、鳥取支部は、生活困窮者ペット飼育支援とペット防災を中心とした活動を実施していく予定となっています。