NPO法人人と動物の共生センターは、人と動物が共に生活することで起こる社会的課題の解決を通じて誰もが他者を思いやることの出来る社会に貢献することを理念に活動しています。
事業概要
現在日本では年間11万頭の犬猫が保健所等に収容され、そのうち5.5万頭が殺処分されています(平成28年度)。保健所での殺処分の数は年々減少をたどっていますが、その分動物保護団体に収容される犬猫(殺処分ゼロ活動による)や、ブリーダーや引き取り屋の元で飼い続けられている犬猫(終生飼育の義務化による)の数は増加していると考えられます。現在は、殺処分問題と捉えるよりも、余剰動物問題として捉えた方が正確に問題を把握できると考えています。
図にある通り、余剰犬猫問題は、上の段の蛇口(入口/余剰犬猫の発生)と下の段の蛇口(出口/余剰犬猫の処遇)の2つの問題から成り立っています。これまでは、下の段の蛇口に対して取り組む活動が多かったと思います。その結果、多くの地域で殺処分ゼロが実現しました。今、取り組むべき蛇口はどこでしょうか?やはりそれは上の段の蛇口です。
人と動物の共生センターは、上の蛇口を閉める活動、特に、飼い主からの放棄を防ぐための活動(犬のしつけ教室ONELife/ペット後見互助会とものわ)と、ペット産業からの余剰動物の発生を防ぐための活動(ペット産業のCSRの推進)に取り組んでいきます。
代表あいさつ
犬や猫は身近な異種として、人間の生活に深く入り込み、共に時間を共有しながら過ごしてきました。遠い昔は、人間に近づいてくる犬に、人間は残飯などを与えることで、犬は危険や警戒のお知らせをすることで共生関係が成り立っていたといわれています。その頃の犬は人間の近くが嫌なら、人間のそばからいなくなることもできたし、人間も犬からの恩恵を受けるためには餌付けするなど、犬から良き相手であると理解してもらう必要がありました。
しかし、現在は、家の中で犬を飼い、そしてかわいがることは当たり前のことになっています。もし、犬が家から逃げられるとしたら、かわいがられることを望まない犬もいるかもしれません。本来なら、犬の方から近寄ってきてくれる人になってこそ、犬とのかかわりを楽しむことができるはずです。犬が近寄ってきてくれる人になるというステップを踏まずに、一方的にかわいがるという恩恵を受けているならば、それは他者を尊重しているとは言えないと思っています。かく言う自分も、ある保護猫を預かっていたときにはあんまり近寄ってきてくれませんでした(笑)その猫に好かれる人になってなかったので、ゴロゴロいってもらえなかったのかもしれません。
犬や猫の異種の動物との付き合いでは、例えば『触りたい』という一方的な欲求を押し付けるのではなく、相手の生態を理解し、尊重し、配慮することで、共に過ごしたいと思ってもらえたら、人が恩恵を受けることもできるし、充実した生活を送ることができると思います。そして、そのように相手を尊重できる姿勢を、一人一人が実践していくことを通じて、共に生活する動物だけでなく、食べ物になる動物、植物、地球環境、地域社会に住む他の人たち、自分を取り巻く他者に対して、思いやりを持って接していくことができるのではないかと思います。
プロフィール
- 人と動物の共生センター 理事長
- 獣医師(獣医動物行動診療科認定医)
- ぎふ動物行動クリニック
- 岐阜市動物愛護推進員
- 東海若手起業塾第4・5期
経歴
岐阜大学獣医学課程卒 岐阜大学在学時、殺処分問題解決を目的とした学生団体ドリームボックスを設立。 ポスターやリーフレットによる啓発活動、小中学校への訪問授業や学校飼育動物研究会の設立、犬猫の譲渡仲介活動、殺処分問題を解決するプランコンテストなど様々な活動を実施。 その実績を評価され、2009年日本学生支援機構優秀学生顕彰《優秀賞》を受賞。
卒業後、社会的合意形成を支援するパブリック・ハーツ株式会社入社。社会教育プログラムの開発、地域活性化イベント企画などを担当。数々の社会起業支援プログラムに参加。ソーシャルビジネストライアル2011年度優秀賞受賞、東海若手起業塾第4期5期。並行して、成犬の譲渡活動を積極的に行っていた動物病院にて臨床に携わる。
2012年3月NPO法人人と動物の共生センター設立・理事長に就任。同年4月ドッグ&オーナーズスクールONELife開業。2014年4月ぎふ動物行動クリニック開業。2017年獣医行動診療科認定医取得。著書に「ペット産業CSR白書‐生体販売の社会的責任‐(2018)」、「動物の精神科医が教える 犬の咬みグセ解決塾(2018)」
講演実績一例
2013年
- 名古屋大学 「社会と環境」 講師
- 岡崎yegビジネスプランコンテスト ブラッシュアップ研修講師
- 動物臨床医学会 一般口演 「犬の飼育放棄問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策
2014年
- 起業の学校10期、研修講師 @地域資源長屋なかむら
- 岐阜県動物愛護センター 愛犬のしつけ教室 講師
- メニワン『犬のしつけと七不思議』講師 メニコンHITOMIホール
2015年
- 岐阜市愛犬と一緒に学ぶしつけ教室 講師
- 平成27年度地域創業促進支援事業「各務原創業スクール」 ゲスト講師
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「SB支援プログラム勉強会」講師
2016年
- 千葉県動物愛護セミナー『高齢者とペットとの共生を考える』
- 名古屋市動物取扱業継続研修『犬猫の社会化と動物取扱業の社会的責任』講師
- 愛知県立大学『NPO論~ソーシャルビジネスの始め方~』ゲスト講師
2017年
- 名古屋市動物取扱業継続研修『犬猫の社会化と動物取扱業の社会的責任』講師
- NAYUTA BLD (ナユタビル)主催セミナー 高齢化社会におけるペットとの共生を考える
- 愛知県これからの社会貢献活動支援検討会議『ロジックモデル作成の意義と効果』
2018年
- 日本獣医動物行動研究会卒後教育セミナー『柴犬の攻撃行動へのアプローチ』
- 帝京科学大学アニマルサイエンストピックス『殺処分ゼロは正義か悪か-本当の課題解決を考える-』
- 全国動物管理関係事務所協議会関東甲信越静ブロック会研修会『成果志向型動物愛護管理行政のススメ』
- 人と動物の共生センター主催セミナー『減災教室ペット編-減災力テストペット編お披露目会-』
学会発表
2012年
動物臨床医学会、第33回年次大会、グループレッスンを利用した行動療法により、恐怖性攻撃行動が改善した柴犬の一例
2013年
動物臨床医学会 第34回年次大会 一般口演 犬の飼育放棄問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策
2016年
ヒトと動物の関係学会 第22回年次大会 ペット販売業の持続的経営に必要な社会的責任の考察
2016年
ヒトと動物の関係学会 第24回年次大会 ペット産業従事者アンケートから見る、犬猫の生体販売の課題
団体概要
名称 | NPO法人 人と動物の共生センター |
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設立 | 2012年3月23日 |
目的 | 人と動物が共に生活することで起こる社会的課題の解決を通じて、誰もが他者を思いやることの出来る社会創りに貢献すること |
住所 | 〒500-8225 岐阜市岩地二丁目4-3 |
連絡先 | TEL:058-214-3442 FAX:058-214-3460 MAIL:info@tomo-iki.jp |
理事長 | 奥田 順之 |
理事 | 中谷 圭 |
理事 | 原田 浩光 |
理事 | 小島 寛司 |
理事 | 柴山 慶太 |
監事 | 吉川 明宏 |