一人暮らしで、ペットの面倒を見てくれる人がいない

日本の人口はピークを過ぎ、人口減少社会に入っています。にも拘わらず、世帯数は増え続け、一人暮らし世帯の数は増え続けています。

そんな中、一人暮らしのパートナーとして、ペットを迎える方も少なくありません。一人暮らしだと、自分に何かあった時、ペットのことをどうしよう…と不安を抱えている方も多いはず。近くに頼れる親族や知人がいればいいですが、ペットの世話までお願いできる関係性の方がいないということは少なくありません。

大切な家族であるペットを守るためには、日ごろからの備えが何より必要です。

近年では、犬猫の所有権放棄の多くが高齢者によるものです。高齢者自身が持ち込むケースもありますが、本人が亡くなってしまい、行き場がなくなった犬猫が保護されるケースも多数存在します。飼い主の死後、ペットの行先を作っておくこと、そして、飼育費用を遺しておくことが、飼い主の責任と言えます。

①ペット後見を利用する

ペット後見とは、飼い主が入院や死亡などにより、万が一ペットを飼えなくなる事態に備え、飼育費用、飼育場所、支援者をあらかじめコーディネートしておくことで、飼えなくなった場合にも、最後まで飼育の責任を果たすための取り組みの総称を指します。

ペット後見を行うサービスは、様々な事業者が提供しています。本サイト、ペット後見.jpでは全国でペット後見に取り組む事業者を紹介しています。

連携事業者一覧はこちら

ペット後見は、①飼育費を遺す契約、②飼育の受け皿(飼育する人と場所)の確保、③緊急時に対応できる見守り体制の構築の3つの要素から成り立っています。

この3つの要素は、それぞれの飼い主のニーズや、地域性、提供事業者によって、具体的な中身が変わってきます。

例えば、①飼育費を遺す契約であれば、遺言により費用を遺したい人と生命保険により費用を遺したい人では、契約の形態が変わってきます。②飼育の受け皿については、どんな場所で飼育してもらえるかについては飼い主は一番気になるところだと思います。遠く離れた見学にも行けない場所を受け皿にするよりも、しっかり目で見てスタッフともコミュニケーションが取れる地元の老犬老猫ホームなどを受け皿にする方が適切でしょう。

一人暮らしで、万が一何かあった時が不安ということであれば、まずは、ペット後見を提供している事業者にコンタクトを取り、相談をしてみるのがよいでしょう。

②普段からペットホテルやシッターを利用する

ペット後見を行っている事業者は、まだまだ多くはありません。近くにペット後見を提供している事業者がいないからと言ってあきらめてはいけません。

まずは、普段からペットホテルやペットシッターを利用することが大切です。ペットホテルやペットシッターを利用したことがなく、いざ急な入院となった場合に、頼れる人が全くいなければ、本当に困ったことになってしまいます。ホテルやシッターの方も、本人が入院している状態で、所見のペットを依頼されるのは嫌なものです。事前に人とも動物とも信頼関係を築いたうえで、お世話ができることがベストです。

もし、ホテルもシッターも使ったことがないのであれば、まずは使うということが大切です。

ペット後見を紹介する

普段からペットホテルやシッターを利用し、信頼関係を築いた上で、飼い主さんからペット後見の取り組みについて紹介されるとよいでしょう。

多くのホテルやシッターさんは、ペットの世話は慣れていても、ペット後見については不案内なことが多いでしょう。ペット後見の取り組みを知れば、その事業者さんが、ペット後見に連携事業者などの形で参加したいと考えていただけるかもしれません。

というのも、ペットホテルやシッターさんはこうした事案に出会っている人がほとんどです。「私が死んだら、うちの子よろしくね」と言われるものの、飼育費用をどのように受け取ればいいのか、契約はどうすればいいのかなどわからず、困っているという方が多くいらっしゃいます。

当団体が行う、ペット後見事業者向け勉強会では、そうした事業者の悩みを解決できるように、相互に情報交換をしています。

③ペットのバトンを利用する

自分が死んでしまった後、ペットのこと(病気など)を知っている人が誰もいない!という状況になってしまうと、ペットの適切な世話ができなくなってしまいます。

ペットの緊急保護をしてくれた方がいても、食物アレルギーがあるのに、その情報が伝わっていなければ、大きな事故になってしまうこともあります。

このような問題を解決する為のアプリが、ペットのバトンです。

ペットのバトン

ペットのバトンは、ペットの情報を次の飼い主につなぐためのツールです。通院記録や、普段の生活などをメモにして残すことができ、バトンを受け渡すことで、その詳細な情報を次の飼い主に繋ぐことができます。

自分自身が飼いきれるのが最善ですが、万が一、飼えなくなる事態に備えて、情報を遺すという部分にも取り組んでいくべきです。

④ペットコミュニティに所属する

ペット後見を活用するのとは別の方法として、ペットコミュニティに所属し、ペット友だちを増やしておくという方法があります。

犬であれば、犬種ごとのコミュニティだったり、地域の犬コミュニティだったり調べてみるといろいろと参加できるものがあります。保護犬や保護猫では、出身の保護団体さんが同窓会を開いたり、オンラインコミュニティを作っているところも少なくないですね。

鳥飼いさんコミュニティ、うさぎさんコミュニティなど、仲間をまず作ることが大切です。

仲間を作ると、ペットのことも知ってもらえます。ペットのことを知ってもらえていたら、いざ自分に何かあった時に、頼ることもできるでしょう。

同じ品種や、同じ種の動物を飼っている人であれば、一時的な預かりについても、もともと知識があるためある程度お願いしやすいでしょう。コミュニティの中で支え合うことで、新しい飼い主探しもできるかもしれません。

これは、あくまでも共助の関係ですから、一方的に助けてもらうという考えは適切ではありません。コミュニティの中で困っている人がいたら自分が助ける側に回るつもりで関係を作ることが大切です。

ペット後見のように、契約でしっかり決まった形ではありませんが、リスクを減らし、サポートを増やすという意味で、ペットコミュニティへの参加は重要な取り組みと考えられます。