当法人では、飼い主さまの死後も犬猫ちゃんたちが安心して暮らせるように、遺産相続の手続きのサポートを行うとともに、当法人が岐阜県岐阜市にて運営する犬のしつけ教室ONELifeと保護猫カフェ兼シェルター(保護猫カフェ猫影)にて、犬猫のお預かりと新しい飼い主探しを行っています。
ペットへの遺産相続の方法(ペット後見)
日本の法律では、ペットは物であり、ペットが直接的に遺産を相続することはできません。しかし、ペットの飼育費用を適切な形で遺すと共に、ペットの引受先をあらかじめ決めておくことはできます。当法人では、こうした取り組みを『ペット後見』と呼び、「ペットに遺産を相続し、最後まで幸せに暮らせるようにしたい」と願う飼い主様からの相談をお受けしています。
当団体は、理事長が獣医師(奥田順之獣医師)、副理事長が弁護士(小島寛司弁護士)の体制で、直営施設を含む、4か所の飼育施設と連携して、ペット後見の取り組みを実施しています。
ペットへの遺産相続相談(対面/オンライン)
ペットへの遺産相続については、法律家に相談しても、動物をどう管理するのが適切なのかわからず結論が出ないということがあります。もちろん動物の専門家に相談しても、法律のことがわからず、先に進みにくいでしょう。
そこで、当法人では、法律家と動物の専門家が連携することで、総合的な相談を受けられる体制を整え、相談受付を行っています。
具体的には、一次的な相談として、獣医師を含む専門チームにより、ペットへの遺産相続に関するニーズをヒアリングします。現在のペットの健康状態やしつけ/行動面の状態、自分の死後にペットをどのような形で飼育してほしいのか、あるいは、譲渡を目指すのか、どういった場所で飼育してもらいたいのか、既に飼育してほしい飼育先が決まっている場合はその情報など、様々な側面からニーズをお伺いします。
そのニーズや、財産の状況に合わせて、遺言を作成するのか、信託契約を作成するのか、生命保険を掛けるのかなど、具体的に飼育費用を遺す方法を検討します。
具体的に遺言や信託契約を作成する場合には、ペットへの遺産相続について造詣の深い法律家を紹介し、契約を作成していきます。
ペットへの遺産相続に関する相談をご希望の方は、お電話もしくはお問い合わせからご連絡ください。尚、相談料は無料です。
お気軽にお問い合わせください。058-214-3442受付時間 9:00-17:00[不定休]
お問い合わせ忍者猫カフェ猫影(保護猫カフェ)
当法人では、猫への遺産相続(ペット後見)の取り組みを進めるために、古民家を改装し、猫のシェルターを運営しています。2022年11月よりシェルターの形態をさらに進化させ、一般社団法人サスティナブルサポートと協働し、忍者猫カフェ猫影としてリニューアルオープンしました。
猫影では、保護猫たちが良い動物福祉を享受できるように配慮しながら、新しい飼い主さんの募集を行っています。
犬猫に遺産を遺すとは?
犬猫は日本の法律では動産であり、相続される財産ではあるものの、相続を受ける主体になることはできません。犬猫名義の預金通帳を作ってそこに遺産を振り込むということはできないわけです。
犬猫に遺産相続をしたいというニーズは、主に2つに分かれます。
- 自分の飼っている犬猫について自分の死後の保証を行いたい
- 自分の遺産を恵まれない犬猫のために活用したい
自分の飼っている犬猫の将来を保証したい
遺産を活用して、自分の飼っている犬猫の将来を保証するためには、①犬猫のための遺産を適切な方法で渡すだけでなく、②犬猫を安心して預けられる場所を確保すること、③いざという時にすぐに駆け付けてもらえる体制を確保すること、が必要です。①遺産(飼育費用)、②飼育場所、③見守り体制の3点がそろって初めて、いざという時に犬猫を守ることができると考えたほうがいいでしょう。
自分の遺産を恵まれない犬猫のために活用したい
特に相続人がいらっしゃらない方にとっては、自分が生涯で築いてきた財産をどうするのか?ということは人生においてとても大きな選択になります。相続人のいない方は、何もしなければ、自分の死後、財産は国に納められることになります。
大切な財産を、恵まれない犬猫のために活用したいというお申し出については、しばしば寄せられます。飼っている犬猫の引き取りを行うこととセットで遺産を寄付したいという方もいらっしゃいます。このような遺産を特定の団体に寄付する行為を遺贈寄付と呼びます。当団体では、持続可能な活動を進めるべく、遺贈寄付の呼びかけをさせていただいております。
近年、高齢者による飼育困難が多発していますが、遺産を遺せる方ばかりではありません。生活困窮の中で、犬猫と共に暮らしている方も少なくない状況です。不妊去勢手術を実施せず、どんどん増えてしまうことも。犬猫の医療費をはじめとして、恵まれない犬猫の保護活動は、多くの費用がかかり、ボランティアが自腹で医療費を捻出することも少なくありません。遺産のような資金があれば、多くの恵まれない猫を救うことができます。
このような恵まれない状況にある犬猫たちのために、遺産を活用したいと考えていただける方には、動物に関わる団体への遺贈をご検討いただきたいと考えています。当団体以外の団体に遺贈したいという相談にも対応しております。まずは以下のご案内をご覧ください。
ペット(犬猫他)に遺産を遺す具体的な方法
犬猫に遺産を遺すには様々な方法があります。
ここでは、ペット後見互助会とものわで利用可能な5つの方法について紹介します。専門用語が多いため少しわかりにくいかもしれませんが、「色々な方法があって、ニーズに合わせて選択できるんだな」とご理解いただければOKです。
実際にどの方法を使うかは、飼い主さんのニーズを専門家にご相談いただいて、一緒に決めていく形になります。
負担付生前贈与
負担付生前贈与とは、金銭等の財産を贈与する代わりに、一定の債務を負担する贈与契約です。犬猫の世話をすることを条件に金銭を贈与する場合がこれにあたります。
負担付生前贈与は、口頭での契約も可能ですが、トラブルにならないようにするために、契約書を作成した方が良いでしょう。
民事信託
信託とは、財産を所有している委託者が、受託者に対して一定の目的をもって財産の管理や処分を任せる行為を指します。信託には、商事信託と民事信託があり、商事信託は信託報酬を得る目的で業としておこなうもの、民事信託は報酬を目的としない家族などが受託者になるものを指します。
ペット後見では、犬猫の飼い主が委託者となり、受託者は信託財産を飼育費用として活用し犬猫の飼育を行います。民事信託は、家族や信頼できる友人など受託者を頼める人がいることが条件となります。
負担付遺贈
遺贈とは遺言によって財産を贈与することを指します。負担付遺贈とは、一定の債務を負担することを条件にした遺贈を指します。遺贈を行うためには遺言を作成しておく必要があります。遺贈する相手は、個人でも法人でも可能です。
ペット後見で負担付遺贈を使う場合は、犬猫を飼育することを条件に財産を譲る旨を記した遺言を作成することになります。遺言は公正証書にして、公証役場で保管することで、遺言が適正に執行されやすくなります。
少額短期生命保険
少額短期生命保険により、飼育費用を遺すこともできます。スマイル少額短期生命保険のペットのお守り保険は、万が一飼えなくなった時の保障を行うことを目的に開発された保険で、入院時の入院給付金や、死亡保障・重度障害補償が受けられます。死亡保障の受取人は、家族だけでなく、あらかじめ指定した友人を指定することができるため、犬猫の飼育を頼む友人に飼育費用を遺すことができます。一方、法人や事業者が死亡保障を受け取ることはできないという問題点があります。
生命保険信託
生命保険信託は、生命保険と信託契約を合わせた仕組みです。ペット後見互助会とものわでは、プルデンシャル生命・プルデンシャル信託が提供する生命保険信託を利用して必要な飼育費用を遺せるようにしています。
但し、プルデンシャル生命・プルデンシャル信託の生命保険信託では、受益者に指定できる法人は、認定NPO法人など、公益性の高い法人に限られるため、飼育費用の受取ができる法人が限られるという問題点があります。
犬猫の飼育場所をどうするか?
飼育の受け入れ先を決めることは、飼育費用の遺し方以上に飼い主さんが気になる点だと思います。いくらお金を遺しても、適切な飼育管理をしてもらえないのであれば、飼育費用を遺した意味がありません。
信頼できる受け入れ先を決めるためには、飼い主さん自身が動く必要があります。以下の受け入れ先をあたってみるようにしましょう。
まずは親族
私が相談を受ける時も、意外や意外、親族に相談されていない方もいらっしゃいます。親族が飼育してくれるのであれば、様々な面で一番スムーズです。相談できる親族がいない場合は別ですが、まずは親族に相談してみましょう。
友人知人
ダメ元でも、一度友人知人に話をしてみるのもよいでしょう。ただ、友人知人となると同世代が多いでしょうから、万が一の際に託すことを考えると、一世代下の友人知人にあたってみると良いでしょう。
お世話になっているペット事業者
次に、お世話になっているトリミングサロンやトレーニングスクールなど、ペットホテルを営んでいるペット事業者の方にお願いできるか聞いてみましょう。ペット後見に理解のある事業者であれば、話は早いでしょう。
老犬老猫ホーム
老犬老猫ホームにお願いするということも選択肢の一つです。老犬老猫ホームの場合、普段お世話になっているペット事業者と違い、日頃から面識がない場合も少なくないでしょう。見学に行くなど、信頼関係を築く努力をしていくことが大切です。
保護団体
保護団体出身の元保護犬猫の場合は、出身の団体がペット後見の取り組みに前向きであれば相談に乗ってくれるかもしれません。『飼うなら最期まで』ということが前提で譲渡されていると思いますし、受け入れスペースにも限りがあるでしょうから、団体の状況に合わせて相談するようにしましょう。
見つけられない時は…?
お住いの地域や、知り合いの中で飼育の受け入れ先が決められない場合は、以下のリストからお近くの事業者に連絡すると、相談に乗ってもらえます。
【参考】https://pet-kouken.jp/alignment-list/
見守り体制の構築
飼育費用の遺し方、いざという時の受け入れ先が決まったら、見守り・緊急対応をしてくれる人を確保しましょう。
緊急対応が可能な人とは、家まで来て、動物を預かって移動させてくれる人と考えると良いでしょう。自分が救急車で運ばれたあと、動物が家に取り残されてしまっては、ペット後見の意味がありません。緊急保護をお願いできる人を確保しておく必要があります。
こうした対応を行ってくれる人はペットシッターです。ペットシッターを利用したことがない方も多いかと思いますが、いざというときにいきなり知らない人に家に来てもらうのは心配な面もあります。ペットシッターとの関係こそ、日常的に築いておくべきものです。
お近くのペットシッターの方に実際に日常の世話をお願いしてみて、人柄や、動物を扱う技術を確認しておくことが大切です。